台湾発祥でスポーツとして行われている『大槍』の個別指導を受けてきました。
『大槍』は、3mの槍を使う競技で、伝統武術で大槍を使う八極門の方々が競技化したものとのこと*1。 有効なのは突きのみで、得点は頭部・胴部が2点、ほかは1点。11点先取で勝ち。
槍はカーボン製で軽く(それでも重心が遠いのでそれなりの重さは感じます)、中継ぎ式で持ち運びに便利。 穂の部分にはクッション。試合ではフェンシングのような接点センサーが付くそうです。
競技エリアは2m x 8mくらい? で、回り込む動きはないため、伝統武術の人はステップを踏まない、MMAジムでやっている人はステップを踏むという二系統あるそうです*2。
大槍
形意門の槍術を練習したことはあったのですが、大槍は3mあるので構えかたから違いました。完全に半身、後ろ側の手は石突にかかるくらい。足幅は広め*3。
突きかたは伝統武術における「扎」とほぼ同じ。 構えからまっすぐ突く、穂先を下げて相手の槍の裏にまわして突く、下げて下胴を突く、の三種を練習。
防御は、表からの突きには時計回り、裏には反時計回りに槍を動かして(腕でなく後ろ足も使う)受け流すのが主で、槍も軽いのでそれほど手の内を効かせなくてもさばけそう。
長槍(スポーツチャンバラ)
スパーリングのためもあって、スポーツチャンバラの『長槍』も練習しました。
こちらは長さ2m弱ほどですが、構えは同じく半身。 突くときの前手の位置に制限があり「扎」のように伸ばして突いてはいけない*4、打つ(斬る)も有効(打突部位に制限があったかも?)。
防御は大槍よりさらに軽く受け流す程度*5。前手への打突に対する受け、足に対してはいわゆる「攔」で防御、を練習。
ここでステップワークも練習。ステップを踏む系をほぼやってきていないのでつらい。身体が重い(物理)。
最後にスパーリング。世界チャンピオン強い。勝つどころか打ち込める気がしない*6。そしてステップワークなしではスピードで勝てないことも実感。
所感
武術のスポーツ化には色々意見があるとは思うのですが、個人的にはスパーリングはあったほうがいいし、そのために何かしらルールを作るのであればスポーツに振り切るのはありだと思っています。
忙しかったりコロナ禍だったりで全く身体を動かせていなかったところ、Twitterで日本大槍協会の個別指導のことを知って劇薬のつもりで申し込みました。 2時間で一通りの基礎を教えていただき、スパーリングもでき、また競技としてのルールその他のお話も色々聞けて、とても良い体験でした。ありがとうございました。
槍の操法は慣れとして、防御とステップでの回避をきちんと使い分けられるようにするのが当面の課題*7。 どこまで時間を取れるかわからないのですが、できれば継続して練習していきたいと思う競技でした。
日本大槍協会
代表のかたが、銃剣道、スポーツチャンバラと経験してきて(そして世界チャンピオンになり)、台湾の団体のかたから声がかかって大槍をはじめ(そして優勝し)、今年2月に日本大槍協会を設立されたそうです。
設立して早々コロナ禍で団体練習できなくなり、今は個別指導(予約制)をされています。
初心者歓迎とのことなので(上記は決まったカリキュラムではなく、個々のペースに合わせてくれるそうです)、気になったかたはぜひ @Japan_daqiang までDMしてみてください!
参考
*1:六合大槍とか有名ですね
*2:あくまで競技の世界としてですが、直近の大会ではステップ踏む派が優勢だったとのこと
*3:癖で前足が敵のほうを向いてしまう傾向があったのですが、ステップを踏むのに不向きなので45°くらいが正しい。あと腰が高くなりがちなのも要修正
*4:「繰り込み突き」と言うそう。2016年から禁止された模様。参考: https://blog.goo.ne.jp/oizumi-dojo/e/e375da08b7d87e78b1376d3df1c4a72a
*5:槍の軽さと、音がしっかり鳴るくらいの打突でないと有効でないので
*6:カウンター気味に2-3本打てたけど禁じ手の片手突きになっていたのでノーカン
*7:ステップを常用できるようになるのは遠そうなので、せめて二段構えにしなければ