斬らなイカ?

武術・武道・日本刀とか。

西洋剣術体験

キャッスル・ティンタジェルさん主催の『特別ビギナーレッスン』に参加してきました。

ティンタジェルは、西洋剣術*1および、鎧を着て剣で殴り合うアーマードバトルのスクール。西洋剣術のほか日本武術も教えていて、今回のビギナーレッスンでもどちらか一方を選択できたのですが、今回は「西洋剣術 騎士道コース」を選択しました。

本レッスンは「ロングソード、ソード&シールドの初歩の技を学ぶ」ということで、鎧を着てのスパーリングは無し。代わりにレッスン後に行われたメンバーさんのトーナメントを見学できました。

スタンスとステップ

  • 立ち方は、肩幅の半身。後ろ足は90度横を向き、つま先重心。日本の剣術と異なるところで、すでに無意識でやっている部分なのでなかなか慣れず。
  • 前後の移動、斜め前・後への移動+腰を切って逆の半身になるなど、いくつかのパターンを練習。

両手剣

  • 重さは1.7kgくらい? 日本刀より重いが重心が手元に近い。片手斬りはできるけど振り回せるほどではない感じ。
  • 右手メインで持つ
  • 持ち方は日本刀に近い(ハンマーグリップではない)が、右手親指は立てて鐔のあたりに置く。これは、
    • 親指で刃の向き(両刃なので)をコントロールできるように
    • 剣を水平に近く寝かせる構えが多いので、安定性のためもあるかも?(未確認)
  • 斬撃は、剣の振りが先。剣を前に振り出してから歩み足に進み、腰を切って斬り下ろす
    • 剣の重みで前に出るようなイメージだとうまくいくようでしたがこれも慣れず
    • 基本的に、相手の頭部を狙う
  • 構え何種類かと、そこからの振り方を練習
    • 斬り下ろしのほか、相手の攻撃を受け止めつつ切先は頭部に攻撃する技技など
    • カリ(アーニス/エスクリマ)で言うアバニコ(Abanico)のような技もありました(ツヴェルクハウ?)

片手剣&バックラー

  • バックラーは小さい(直径30cmもない)盾。遠くに構える
  • バックラーで右手の籠手を守るように使う。斬撃も刺突も、バックラーの影に右籠手が収まるように使う。
  • 剣は両手剣と同じく、親指は立てて鐔あたりに置く
  • 基礎的な技はロングエッジ(自分から遠い側の刃)を使うが、ショートエッジ(自分に近い側の刃)を使う技もある
  • 斬撃も両手剣と同じく、剣の振りが先
    • 体が先だと相手に斬られるとジェイ師
    • 鎧なしの場合、肘と手首でシャープに振る
    • ヘヴィアーマーの場合、より強く振る必要があるので全身で振る
    • 斬り下ろし*2、斬り上げを練習
  • 刺突は、剣を水平に使うのがベーシック。相手の盾を避けて突く。
    • カリにおける突き技の形ととてもよく似ている*3
    • 右上から、左下から、右下から、左上からの突きを練習

レスリン

  • レスリング(日本剣術的には組討)も剣術の範疇で教本にはあるが、試合で使うと大怪我をするので使用禁止。例えば、
    • 相手の盾を掴んでひねる(盾は輪を通して掴んでいるので手首が折れる)
    • 盾で相手の剣を抑え、自分の剣を差し込んでディスアーム*4
  • 蹴り技は3/4が急所、残り1/4が膝への攻撃で、いずれにせよ危険なので禁止。相手を押し退けるような蹴りはok。

競技のレギュレーションなど

  • 武器カテゴリは、ダガー、片手剣&盾*5、両手剣、槍、ポールアーム(ハルバード等)の5種類
  • 競技カテゴリは防具による。鎧なし、ライトアーマード(チェーンメイルやフェンシングの防具)、ヘヴィアーマード(プレートメイル)
    • ルールが違う(ポイント制など)
    • 使用武器の材質も違う。鎧なしではラタン+緩衝材、ライトではプラスチック製、ヘヴィではスチール製
      • スチールは、鉄パイプを潰したもの
      • あくまでも、セイフティな、トレーニング用の、銃刀法的に問題ないもの
  • 西洋剣術は13世紀のテキスト『I.33』などが教本。武器の形状などは13〜15世紀の史料に出ているものに限定される
    • カリで言う「エスパダ・イ・ダガ」、片手剣とダガー(パリーイング・ダガー、マンゴーシュ)のスタイルは時代が違うので対象外だそうです。レイピアは16世紀ごろらしいので。

所感

西洋剣術は(慣れないながらも)納得できる理合があって、ひとつの武器術としてもう少しちゃんと練習してみたい。しかし日本の剣術*6との違いが、変なクセにならないかという不安もあるので悩ましいところ。

この日はできなかった鎧を着てのスパーリングも、ビジター参加などでも体験できる(もちろん入会するより割高ですが)そうなので、また時間を見つけて体験してみたい。この経験は剣術に活きるはず。

キャッスル・ティンタジェルさんでは、目白の本部でのメンバー募集のほか、名古屋支部、仙台支部クラスを近々オープンするとのことで、こちらも募集しているそうです。

www.castletintagel.com

参考

ティンタジェルのジェイ師による両手剣のDVD。Amazonでは品切れで割高ですが、出版社直販なら定価で買えます

babjapan.tp.shopserve.jp

かなり前に購入して積んでる本

中世ヨーロッパの武術

中世ヨーロッパの武術

続・中世ヨーロッパの武術

続・中世ヨーロッパの武術

ざっと読んだけどアーマードバトルに関してはちゃん書かれてるっぽい

*1:ドイツ剣術がベースのようですが、もう少し広く中世ヨーロッパにおける剣術

*2:右上から斜めに斬り下ろし。恐らく鍔の形状や兜をつける前提なので、真向に斬る太刀筋はなさそう

*3:カリに残っている、が正しい表現ですが

*4:カリの技と類似しており、密かにテンション上がりました。カリにあるディスアーム技は、合気道などが近世になって流入した技かと思っていましたが、西洋剣術起源の技も十分にありそう。でも殺し合いにおいてディスアームを積極的に狙う意図はよくわかりませんが…

*5:今回体験したバックラーだけでなく大きめのものも。扱い方も変わるようです

*6:少なくとも現存している流派の教え